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2006年4月23日(日) 中田英寿コラム 19
高精度クロスから先制アシスト VSチャールトン戦
中田が2試合連続スタメン出場。カンポ、スピードが下がり目で、中田が前目の中盤。フォワードが、ボルゲッティ、デービス、バス・テの3トップでスタート。

立ち上がりから積極的でキレのある動きを見せる中田は、試合開始早々、左足からシュートを放つも惜しくも枠の外。その直後の4分には、中田が中央を突破して、シュート!と見せかけて、ボルゲッティーにノールックのスルーパス。しかし、ボルゲッティはシュート打てず。それでも、完全にボールを試合するボルトンは、前半12分、デ−ビスが落としたボールを、中田がダイレクトでゴール前へピンポイント高速クロス。中央にいたバステがヘッドで合わせてボルトンが先制した。中田は、前回の対戦試合に続いて、チャールトン戦で2試合連続の先制アシストとなった。

その後も、中田を中心にボルトンは、素晴らしい攻撃を見せる。前半21分には、カンポのフリーキックからボルゲッティがヘディングシュート。このシュートは惜しくもポストに当たったが、こぼれ球をデービスが押し込んで2対0。31分にも、デービスのパス(オフサイド気味)からボルゲッティがキーパーと1対1となると、落ち着いて右足アウトサイドのテクニカルなシュートを決めて3対0となった。

メンバーが大幅に代わって、いつもの縦ポンサッカーではなく、グラウンダーでつなぐ、らしくないサッカーを展開したが、これが大当たり。ただし、これは行き当たりばったりの起用ではなく、実は、FAカップやUEFAカップで勝利をおさめていたチームで中心となって活躍していた選手が、ずらっとスタメンに並んだ布陣である。5連敗する前に、このフォーメーションを試していれば、全く違うシーズンになっていたと思うと残念。

3点リードの後半は、ボルトンも集中力が途切れがちで、追加点はなかなか奪えない。それでも、チャールトンの反撃はPKの一点のみにおさえ、ボルトンが快勝し、連敗をストップした。後半は、ボルトンに前半のような勢いがなくなってしまったが、ピンチらしいピンチはほとんどなかった。

中田に関しては、前半は全くミスらしいミスもなく、パーフェクトな出来だった。(課題といわれている)ディフェンスでも読みのよさを生かして、中盤の守備の引き締めに貢献していた。攻撃では、相変わらずパスが正確。グサッという形容がぴったりな高速パスが、中田から前線のデービスやバス・テに通り、そこからボルトンが技とアイディアを生かてファンタスティックなパス回しを見せた。中田がボールをもってルックアップするたびに、観客が「ウワー」という歓声を上げ、その期待に中田も応えた。

ボルトンのサッカーに関してだが、後半途中に、スピードに代わってオコチャが入り、中田がボランチに下がってからの時間帯は明らかにリズムが悪くなった。中田のボランチがダメというわけではない。この試合で、ボルトンの攻撃のリズムが良かったのは、トップ下の位置に入った中田が積極的に前線に飛び出して仕事をしたからであり、(シュートは4本放った)、とかく分断しがちなFWとMFの中間の位置で、たくみに顔を出してボールを受けていたからに他ならない。当面のライバルのオコチャの出来が良くなかったのも、中田にとっては好材料かもしれない。

バス・テ(ポルトガル)、ボルゲッティ(メキシコ)、カンポ(スペイン)と絡むと、中田のアイディアが生かされて面白いサッカーになることが、この試合で改めて証明された。ボクは中田のベストポジションは、レジスタ(or セントラルミッドフィールダー)だと思っていたが、今日の試合で見せた、ドリブルの迫力や飛び出しのセンスを見ると、やっぱりトップ下が本職なのかなという気もする。W杯で、ボランチに基点を作るゲームメーカーがいる(スペインとかイタリアタイプのチーム)ときは、あえて中田を前に上げて、基点をつぶさせて、相手の攻撃を封じるのも作戦のひとつかもしれない。