トータルフットボール 別館

本サイトは、サッカーコラム トータルフットボールの管理人のじじが運営する、日本サッカー&日本代表応援サイトです。

2006年4月16日(日) 中田英寿コラム 18
面白いサッカーとは何か? VSチェルシー戦
中田英寿は、70分ごろに0対2の状況で、スピードに代わって出場するも、ほとんどボールに触れる機会もなく、見せ場は全くなかった。これでボルトンは5連敗となり、CL出場権獲得は困難となった。

よく、「Jリーグってレベルが低くて面白くないから見ない。」という人がいるけど、そういう人にとっては、イングランド代表のスター選手のテリーとランパードがゴールを決めてチェルシーが勝って十二分に満足できる試合だったのかもしれないが、ボクにとっては、非常につまんない試合だった。昼間のコンサドーレとベルマーレの試合の方が、数段面白かった。

チェルシーは、本職のウインガーのロッベン、ダフ、ショーン・ライト・フィリップスの3人ともスタメンを外れており、本来のダイナミックなサイド攻撃は完全になりをひそめた。2得点は奪ったが、かつての勢いは完全に失われている。

一方のボルトンは連敗中。アラダイス監督は、前節の試合後に、連敗の原因として「先制点を取られていること」と語っていたが、この試合も守備的で後ろ向きのサッカーをしていた。アラダイスのロングボールサッカーは、はまるときは効果を発揮するのかもしれないが、チェルシーのように素晴らしいセンターバックがいるチームにも同様の戦術をとれば、あっさり跳ね返されるのは分かりきっている。

「面白いサッカーってどういうサッカーか?」といわれると、ボクは、そのチームにいる選手の個性が十分に発揮されているサッカーだと思う。例えば、昇格チームのように攻撃陣にタレントがいないチーム状況であれば、アラダイスのサッカーが悪いとはいえないが、せっかくボルトンには素晴らしいタレント(ボルゲッティ、バステ、中田英寿、オコチャ)がいるのにその人たちの特性を全く無視したサッカーをしている現状では、アラダイスサッカーはつまらないものといわざるをえない。

中田が出場機会を確保できない理由としてよく言われるのが、”プレミアのスピードに順応できていない”というフレーズであるが、これはありえない。中田はもともと、判断の速さと状況判断のよさに定評のある選手である。例えば、アーセナルのような、中盤での素早いパス回しに特徴のあるチームに所属していて、その監督が、そういうフレーズで苦言を呈するのであれば一理あるかもしれないが、そもそも今のボルトン
の試合で、中盤の選手に速い判断が求められるケースは稀で、中盤でボールをもった選手は、とりあえずCFのデービス蹴っておけという戦術のなかでは判断の速さも糞もないだろう。

今のアラダイスのサッカーに必要なのは、スペースを忠実にうめて、相手を忠実にマークするという実直なタイプのMFである。では、ボルトンに移籍してきたのは、失敗だったのかというとそうでもない。ボルトンに移籍してきた当初は、アラダイス監督も、中田のキープ力や飛び出しを生かしたワンランク上のつなぐサッカーを志している面も見られた。(そして、そのサッカーで結果も出ていた。)結局のところ、そのサッカーで、一度、結果が出なくなったときに、アラダイスが進化への挑戦をストップさせて、元のごり押しサッカーに戻してしまったのが、中田にとっては不幸だった。

アラダイスと同じメンタリティを持つ監督として挙げられるのがユース代表を率いた大熊清監督。この人も、先制点を取られるのを極端に嫌うリスクレスサッカーを好む監督である。

大熊監督は、UAEワールドユースとオランダワールドユースの日本代表を率いて、ともにグループリーグを突破したが、その大会後の評価は全く違うと思う。UAE大会は、攻撃陣、特に中盤にタレントが少なく、逆にDFラインにタレントが揃っていたので、縦ポンサッカーで坂田の決定力にかけるというやり方がうまくはまった。大熊監督のミスは、同じやり方をオランダ大会でも採用したことで、オランダ組には、梶山、本田、家長、水野といった優れた選手が中盤に揃っていたのに、中盤省略サッカーをして、日本国民のフラストレーションをためた。

そういえば、かつては、横浜の岡田監督もアラダイス、大熊タイプの監督だった。岡田監督は、最近のインタビューで、「昔の俺は選手にやり方を強要しすぎたところがあって、試合をみていても選手の次の行動が全部予測できるので、試合を見ていても面白さがなかった。」と言っていた。

最後に、今、Jリーグで面白いサッカーをしているなと思うのは、清水エスパルスとヴァンフォーレ甲府。逆は、鹿島アントラーズとジュビロ磐田とFC東京。