トータルフットボール 別館

本サイトは、サッカーコラム トータルフットボールの管理人のじじが運営する、日本サッカー&日本代表応援サイトです。

2006年4月2日(日) 中田英寿コラム 17
ベンチに座ることの多い日々 VSマンチェスター・ユナイテッド戦
ボルトンはホームに、マンチェスター・ユナイテッドを迎えたプレミアリーグの試合。中田英寿は、ベンチスタート。好調のユナイテッドは、ルイ・サハとルーニーの2トップで、ニステルローイはベンチスタート。

試合はノーランのパスから、デービスが決めて先制するが、ユナイテッドがサハの、ファンタスティックなゴールで追いつくと、後半に途中出場した、ニステルローイが勝ち越しのゴールを決めて逆転。そのまま危なげなく逃げ切った。

ユナイテッドは、ルーニーは元気がなかったが、それ以外の攻撃的なの選手はみんな好調で、韓国代表の朴が出場機会に恵まれないのもうなづける。特に、セントラルミッドフィールダーの位置に入っているギグスの出来は素晴らしく、ここ数年は衰えも指摘されていたが完全復活したようだ。

一方のボルトンは、前半は、いつも単調な攻撃だけでなく、うまくオコチャを使ってゲームメークをしていて、なかなか良かったと思う。しかしながら後半に中盤の守備がズタズタになって、ユナイテッドに攻め込まれた。キーパーのヤースケライネンの好セーブがなければ、大敗していてもおかしくなかった。オコチャ or スピードに代えて中田を投入する、あるいは、いるのかいないのか全く分からないペデルセンに代えてディウフを入れる、あるいは、前線で起点になれないデービスに代えてボルゲッティを入れるなどなど、いろいろと対策は出来たはずだが、イングランドの次期代表監督候補が動くことはなかった。

さて、この試合で出番のなかった中田英寿についてだが、状況は確かに厳しい。この試合でもベンチ入りはしているが、次期代表監督候補がいったいどういったシチュエーションになれば中田を投入するつもりなのか全く見えないし、いったいなぜ、デービスやべテルセンやスピードをボルゲッティやディウフや中田より優先するのか分からない。昨シーズンのように、明らかにベストパフォーマンスでないのであればサブに回っても納得はできるが、どうも理解できない。

パフォーマンス自体は、シーズンを通して、代表の試合でも見せているように切れもあって運動量も申し分ないが、一番良かったころ(10月や11月ごろ)に比べると、最近はボルトンナイズされてきていて、不満は残る。シーズン序盤の中田は、これまでのボルトンサッカーを覆すだけの質の高いプレーを披露して、かつ自身の結果とチームの結果も出していただけに、突然、出番が減った12月・1月の起用法は、非常に残念に思う。(外された理由は、中田が中盤に入ることで守備のバランスが崩れるから。臆病なアラダイスは、スピードのように不用意に前に飛び出さない、バランサータイプのセントラルミッドフィールダーを求めてるようだ。2月・3月以降の中田は、比較的バランスを重視して、ロングパスを多用するボルトンスタイルに対応(≠適応)してきているが、こういうプレーをするのであれば、別に中田でなくてもいいわけで、見ている方はジレンマがある。ボルトンサッカーに適応すること自体、中田の実力からいって問題はないが、そうすることで自分自身の持ち味が消えてしまうと、存在価値が薄れてしまうことをよく分かっているのだろう。)

欧州でプレーする日本人選手には、常時試合に出場してほしいと願う。理想は、ビッグクラブでレギュラーを張って活躍してくれることであるが、ニステルローイやデルピエロ、ラウールといった実績十分の選手でも、試合出場機会を失うこともある。昇格クラブで主役級の立場で活躍をするのありだし(ペルージャ時代の中田やルマンの松井やヘラクレスの平山のパターン)、ミドルクラスのチームでレギュラーとしてチームに貢献するのもありだし(フェイエ時代の小野やセルティックの中村のパターン)、ビッグクラブで駒となって働くのもありだし(ローマ時代の中田)、移籍はホントに難しい。

代表での活動に関していうと、チームで出場機会がないからといってその選手が代表に呼ばれる資格がない、というわけではないと思う。要は、代表の試合で他の選手と比べてハイ・パフォーマンスを見せてくれれば問題ないし、試合勘不足が影響するようであれば代表選手としてプレーする資格はないと思う。代表の中心選手がクラブで常時試合に出場できないことに関しては、きっと、メキシコ人も、韓国人も、トーゴ人も、オランダ人も、イラン人も、そして日本人も、同じように憂いているんだろうなあ。