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2006年4月27日(木) 中村俊輔コラム 16
注目される移籍先は?
セルティックのコンダクターとしてシーズンを通して活躍した中村俊輔には、複数のチームからオファーが舞い込んでいるようだ。なかでも、セビージャやオサスナといったスペインのチームが獲得に積極的な模様である。

ボクは、現代サッカーで一番重要なのは、”どれだけゴール前に攻撃の枚数をかけられるか”だと思っている。おそらく、世の中のほとんどの監督は、守備の人数が薄くなって相手にカウンターを決められるのを嫌う。そのため、攻撃に人数をかけるのを避ける戦術を取るようになる。その結果、ロングボールを多用する戦術(ボルトン方式)、守備のバランスを決して崩さない戦術(セリエ方式)、自分たちのラインも最初から引いてしまう戦術(中東方式)が生まれたわけだが、大概、こういったサッカーからは感動は生まれない。

ここまで極端な戦術でなくても、J1のチームでも、プレミアのチームでも、高校サッカーのチームでも、普通のチームの普通の選手たちは、「裏を取られたくない」、「カウンターを警戒しなければならない」というネガティブなマインドが働いて、前に出ることが出来ないまま試合を終えるのである。サンフレッチェにしても、セレッソにしても、下位に低迷するチームは失点が多いが、下位に低迷するチームは、失点を重ねるごとに足が出なくなるものだ。

そうはいっても、世の中には特別な才能を持った選手がいるものである。彼らは決して安易にボールを取られないので、チームメートは信頼して、攻撃に参加できる。バルセロナのロナウジーニョや、アーセナルのアンリ、ビジャレアルのリケルメやレアル・マドリードのジダンがその代表格だ。

今シーズンを見る限り、中村俊輔も、そのカテゴリーの選手に仲間入りした感がある。セルティックのチームメートは、「俊輔がボールを取られるわけない」という気持ちで、スペースに飛び出していく。ゲームを自在にコントロールのできる中村俊輔の獲得に、いくつかのクラブが動き出していることは、十分に理解できる範疇のものだ。労働者タイプの選手は探せばどこかで見つけることができるだろうが、テクニカル選手を探そうとしても、そう簡単にはいかない。

おそらくワールドカップで活躍すれば、もっと魅力的なオファーが舞い込んでくるだろうが、それでも、来シーズンは、セルティックでプレーするのが一番だと思う。素晴らしいスタジアムと素晴らしいサポーターに囲まれて、CLに出場できるクラブで主力としてプレーする機会は、めったにない貴重な経験だと思う。