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2006年4月17日(月) 中村俊輔コラム 14
スコットランドリーグのレベルは? VS ハイバーニアン戦
中村俊輔が、スコットランドリーグのハイバーニアン戦で先発フル出場を果たした。チームはドローに終わったが、随所で存在感を示した。

この試合のセルティックは、マローニがベンチスタートで、中村、ペトロフ、レノン、キーンの中盤。守備的なDFMを二人並べる、来シーズンのCL用のテストフォーメーション。中村俊輔は久々に、左サイドのMFでスタートした。

前半は、この新システムが機能せずにハイバーニアンのペース。前半35分にフレッチェーに先制点を奪われた。レノンとキーンのダブルボランチでは、展開力で不満が残った。

後半のスタートから、マローニを投入し、中村が右サイドに移ると、セルティックがよみがえる。仕掛けの中心は全て中村俊輔。ビジャレアルのリケルメ状態でプレーしていた。

素晴らしいのは、無理をする必要がある場面と、無理をする必要のない場面の使い分けが完璧に出来ていること。周りの選手は、困ったときは俊輔に預けて、一度動きなおしてリターンパスをもらおうと走りだすシーンが多く、チームメートの信頼の高さが見てとれる。セルティックでは、俊輔がゲームメークにはほとんど参加しないで、アタッキングエリアに入ってからボールを保持して仕掛けていくが、日本代表でもうまく俊輔を使えれば、少なくともオーストラリア戦とクロアチア戦で攻撃が手詰まりになることはないと思う。

試合は、FWズラウスキーのゴールでセルティックが同点に追いついてドロー。ズラウスキーのオールラウンドな能力はなかなか見所がある。彼は、ポーランド代表のエースストライカー。ドイツ大会では、ポーランドも少し思い入れをもって応援したいな。

さて、一部で物議をかもしだしている”スコットランドは、世界トップレベルのチームではない。下位のクラブはJ2以下かもしれない。”という発言だが、あまり感心はしない。試合を見ていると、スコットランドリーグの下位チームは、非常にいいサッカーをしている。この試合の相手のハイバーニアン(現在4位)も、プレスもきつく、ショートパス主体の柔らかいサッカーをしている。スペインリーグでプレーしているからいい選手であるかというとそうではないし、スコットランドリーグでプレーしているからレベルの落ちる選手というわけではない。まぎれもないトップクラスの選手(ロナウジーニョとかカカとかルーニーとか)は世界中のどこへ行っても中心選手としてプレーできるので問題はないが、それ以外の選手は、自分の力を最も生かせるチームでプレーすればいいのではないかと思う。

ここで、韓国代表の朴智星と中村俊輔を比較してみる。朴は、ダイナモとしては世界でも有数のプレーヤーで、名門中の名門のマンチェスターユナイテッドでプレーしているが、常時スタメン出場はできていない。試合に出たり出なかったりを繰り返している。試合に出場しているときは、確かにいいプレーを見せているが、所詮は1/11の選手であり、勝敗の責任が彼に押し付けられるような環境ではない。エース格の選手を比較して、朴がマンチェスター・ユナイテッドプレーしているのに日本人選手は・・・、という論評もあるが、どちらがいい経験をしているかというと、中村俊輔の方が厳しい環境で、たくましくプレーしているのではないかと思う。

ビッグクラブでプレーしているとメディアの扱いも大きくなる。だけど、その選手が優れているかどうかを判断するには実際にプレーを見て、判断すればいいだけの話である。なぜビッグクラブでプレーしているというだけでその選手を神格化するのか。外国コンプレックスに端を発した、「海外の主要リーグはレベルが高いので、そこに所属する選手もいい選手に違いない」という思い込みだけで、選手を評価するのはもうやめにしよう。J2に所属している選手にもいい選手はたくさんいるし、プレミアリーグに所属している選手のなかにも、どうしようもないくらいレベルの低い選手も多くいる。