トータルフットボール 別館

本サイトは、サッカーコラム トータルフットボールの管理人のじじが運営する、日本サッカー&日本代表応援サイトです。

グループF 対戦国 分析   クロアチア
2006/5/27(土)
第1戦の対戦相手のオーストラリアの分析に続いて、クロアチア代表も分析してみる。サンプルは、5月24日に行われた、オーストリア戦。

まずは、オーストリア代表の現状について。この国も、ワールドカップ出場を逃し、新しいチームを作り始めているところである。この試合でも、スタメンには、3の初代表選手が顔をそろえていた。なんといっても、次回のEURO2008の主催国(スイスと共同開催)である。積極的に若手を起用して強化をはかっているようだ。ということで、スタメンを見てみたが、一人も知っている選手がいなかった・・・。欧州の中堅クラスのチームで、ボクが名前を知っている選手が一人もいないチームなんてないだろうと勝手に思っていたのだけどね・・・。

(注意)

会場は、オーストリアのウィーンだったが、クロアチアとオーストリアは陸続き。歓声は、クロアチアが攻めているときの方がだいぶ大きかったので、クロアチア人サポーターのほうが多かったのではないかと思う。なので、クロアチアがアウェーで試合をしていたという感じではなった。

ここから、クロアチアの分析に入ります。まずは、試合を見ていて思ったことを、書きます。

(攻撃)

・2トップは、プルショとクラスニッチ。
・トップ下は、クラニツァール。
・ニコとトゥドールのダブルボランチ。
・右サイドハーフにスルナ。
・左サイドにバビッチ。
・ロベルトが中央で、右にシミッチ、左にトマス。

・攻めはショートパス主体。ロングパスはほとんどない。
・プルショやクラスニッチの高さを使った攻めはほとんどなし。
・左サイドハーフのバビッチと、左に流れてきたプルショが攻撃の起点になることが多い。
・クラスニッチは、シュートシーン以外はほとんどボールに関与しない。
・ただし、クラスニッチのポジション取りはさすがにストライカーという感じ。決定力あり。
・左サイドハーフのバビッチは突破力はそれほどないか。
・バビッチは、キック精度は高い。スルーパスも狙ってくる。
・クラニツァールは、ほとんどボールに触れられない。運動量が乏しいか。
・クラニツァールはボールをもつと、面白いプレーをすることがある。
・ボランチは、ニコ・コバッチがゲームメーク。
・トゥドールは、テクニックはそれほどでもない。トゥドールからボールを奪えると大チャンス。
・右ストッパーのシミッチは、スピードあり。攻撃参加してくることもある。
・ロベルト・コバッチは、テクニックもある。
・プルショとクラスニッチのワンツー警戒。
・右サイドハーフのスルナは、ほとんど目立たない。
・途中出場のオリッチは、スピード抜群。
・バリッチの左足シュートはミドルでも強烈。

(守備)

・サイドハーフのスルナとバビッチの位置が高いので、裏にスペースあり。
・コバッチ(182cm)、シミッチ(180cm)、トマス(186cm)の3バックは、報道されているほどの高さはない。
・ダブルボランチと3バックの連携が悪い。
・カウンター対策が、ほとんどできていない。
・コバッチのカバーリング能力はさすがに高い。
・キーパーは不安定。正ゴールキーパー不在。

(まとめ)

オーストラリアの試合と続けてみたが、率直に言うと、オーストラリアの方がはるかにいいサッカーをしていた。今回の相手のオーストリアのレベルが相当に低かったので、クロアチア代表選手のモチベーションが高くなかったという側面もあると思うが、ディフェンスのまずさが目立った。オーストリア代表には、192cmの大型フォワードのヤンコという選手がいたが、この選手に前半は振り回されていて、前半だけで、3度ほど、きわどいカウンターを仕掛けられた。ボランチの二人と、サイドハーフの二人のポジション取りが高いので、中盤でボールを取られると、一気に数的不利なカウンターアタックを仕掛けられてしまう。日本代表が、大黒と玉田の2トップで試合に臨むと、相当にカウンターからチャンスを作れそうだ。下がり目の位置のトゥドールのところで、カウンターの芽をつむフィルターが全くかかっていないのが大きい。

攻撃では、クラスニッチ、プルショ、クラニツァールの3人に注目が集まっているが、DFにとって厄介なのは、運動量のあるプルショで、怖いのはクラスニッチということになる。中澤がプルショで、坪井がクラスニッチのマークでしょうが不安は残る。クラニツァールは、局面で巧いだけの選手という印象。現時点で、タフマッチで仕事ができる選手だとは思わない。

日本とクロアチアの試合のキーポイントは、サイドの攻防でどちらが主導権を握れるかにかかっている。特に、クロアチアの左サイドのバビッチの位置を、加地の攻撃力(圧力)で低くして、左サイドに基点を作らせないようにしたい。右サイドは、スルナと三都主の争いだが、スルナの横からオーバーラップしてくる、右センターバックのシミッチに注意したい。サイドで、数的不利の状況は作りたくない。

(結論)

この試合を見ると、クロアチアは過大評価されていると思う。オーストラリア代表の方が総合力が高く、やりにくい相手だといえる。確かに巧い選手は多いが、守備面では相当に穴がある。キャリアのあるベテランは多いが、ネームバリューに惑わされてクロアチア代表に過度の恐れを抱く必要はまったくないだろう。この試合のクロアチア代表を見て、少し安心した。

ブラジル戦で敗れて、第2戦ではおそらく、勝ち点3と大量得点を狙ってクロアチアが攻めにかかってくると思われるので、日本としては前半はできる限り失点をゼロに抑えたい。後半勝負になって、相手が前に出てきたところを逆襲カウンターで攻められれば理想である。

この試合では、オーストリアが、ボランチに対して全くプレスをかけていなかったので、ロベルト・コバッチにいいようにボール配給を許していたが、日本代表としては、ここをなんとしても抑えたい。日本のプレスが巧くかかれば、コンフェデのギリシャ戦のように面白いようにパスが回るだろうし、プレスがかからずかわされるようだと、この間のボスニア・ヘルツェゴビナ戦のような劣勢の展開になるだろう。中盤を厚くするために、3−4−2−1でも面白いかもしれない。